FM HOT839(エフエムさがみ)で1年2ヶ月にかけて放送してきた内容を、今後コラムで公開していきたいと思う。公開内容は必ずしも放送順ではないが、1回1トピックスとして読んでいただいた方にわかりやすい内容にしたい。
さて、某日某所で交通安全の意見交換会に出席した時のこと。某団体のトップの方が会合の冒頭、ご挨拶をされた。
「先日クルマの多い幹線道路を小学生が渡ってトラックに跳ねられました。横断歩道のないこんな危ないところをどうして渡ったんでしょうか。このような危険な場所での横断をしないよう、今後も交通安全の啓発が必要です」
うんうん、とうなづく一同。この方、そして会合に参加されたいわゆる交通安全の指導者の方々にとっての、この事故の原因は横断歩道のない危険な道路を渡った小学生(歩行者)にあるらしい。
皆さんはどう思われるだろうか。
私はこの話を聞いた瞬間、日本における交通安全とはルール遵守ではなくクルマを優先するという社会の実態を見た。
実は道路交通法では道路は歩行者はどこでも渡っていいことになっている。渡ってはいけない場所は横断歩道が近くにある場所、横断禁止の表示がある場所、クルマの直前直後だ。後は道路を斜めではなくまっすぐ渡れば良い。つまり上記以外はどこでも渡って良いことになっている。
ではなぜ事故が起きたのか。
道交法にはこう書いてある。横断歩道のない場所で歩行者が道路を横断している場合、クルマはその歩行者の妨害してはならない、とされているのだ。つまり交通事故の原因は歩行者にあるのではなく、クルマ側にあるのだ。
だってこんな場所で急ブレーキをかけたら追突される。逆に危険だ、とのクルマのドライバーの声が聞こえてきそうだ。いやいや大丈夫。クルマは前車が急停止した場合でも安全に止まれるよう、適切な車間距離をとるルールとなっているのだ。つまり追突は起こらない。起こるとすればルールを守っていなかったからだ。