2012年5月1日火曜日

高速道路上における事故について



















関越自動車道において、バス運転手の居眠りとみられる原因から悲惨な事故が起きたことはご存じの通りだ。
防音壁へ高速のまま激突、その防音壁がバスの車体を切り裂いた。
結果、多くの方が犠牲になられた。

もちろん運転手の居眠りが事故の直接の原因であることは否定できない。
しかしそもそもクルマが高速で走ることが明白である高速道路である。
道路上の構造物や設備にクルマが高速で接触することは想定しておく必要がある。

現在のクルマはフラットな壁に激突したとき一定の安全性を確保するよう設計されている。
ところが今回のような防音壁の端部に接触した場合、
フラットな面に接触する場合と異なり、極めて高い応力がその接触部分に集中する。
このような状況においてその安全性をクルマ側だけで確保するには無理がある。

過去にも工事中のバリケードとして用いる鉄パイプの端部にクルマが突っ込み、
パイプがクルマのエンジンルームを通過、室内の助手席シートを貫いたケースもある。
道路上に多くみられる工事用設備が場合によっては凶器になるという典型的な例である。
こうなるとシートベルトをしているだけでは乗員の安全を確保できない。

そうであれば局部荷重のかかるような接触を防止する設計が設備側に必要になる。
そこでドイツのアウトバーンだ。
ガードレールの端部が原則として地面に埋められている。
つまり接触したときに荷重が集中する箇所を路上から排除しているのだ。

ではこの部分にクルマが突っ込むとどうなるか。
その状況からクルマがガードレールに乗り上げ転倒する可能性があることは容易に想像がつく。
しかしそのような場合においてもクルマは一定の安全性が確保されているのだ。
つまり転倒時においてもキャビンの生存空間が確保され、シートベルトを装着していれば一定の安全性が確保されるということ。

今回の事故の教訓として、責任の所在を明確にすることで終らせるのではなく、直接的原因である居眠り防止のためのソフト面はもちろん、クルマ、道路設備双方のハード面を含めた、トータルでの安全性のレベルアップにつなげてほしい思う。







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