2012年2月22日水曜日
魔法使いの少年
公共広告機構のCMを見たことがある方多いと思う。
押しボタン式信号機を渡った子供がクルマのドライバーに頭を下げると
ドライバーが笑顔になるシーンが映し出される。
クルマのドライバーが苛立つ気持ちは、道路を横断させてもらった子供の感謝の気持ちがあれば
ドライバーは笑顔になるという内容。
感謝の気持ちは大切。それはよく理解できる。
ただその題材が?である。
交通弱者を優先するための横断歩道。
人が渡ろうとしていたら信号がなくてもクルマは止まらなくてはならない。
これは道路交通法だ。
でもクルマは止まらない。
そこで押しボタン式信号ができる。
そもそもルールを守らせる前にこのような設備ができることがおかしい。
渡る人が多すぎてクルマが通行できないから押しボタン式になるケースもあるかもしれない。
でもこのシーンはどう見てもそうではなさそうだ。
目の前の道路の向こう側に行こうとするだけなのに。
遠回りをして、横断歩道がある場所まで歩いて、ボタンを押して、青になるのを待って。
やっと渡り、行きたかった場所へ戻る。
しかもルールを守ることにイラつくクルマのドライバーに頭を下げる。
こんなに遠回りをして、時間をかけて。
本当に苛立つのはどちらだろうか?
こんな内容が当たり前のように受け入れられる社会。
完璧なクルマ社会。
アクセル、ブレーキを踏む、そんな簡単で基本的な作業ですら億劫な大人がはびこる社会。子供に頭を下げさせて満足する大人がはびこる社会。
これがクルマ社会だ!
あの頭を下げた男子はその後どうするのだろう。
道路に沿って歩道を歩くのかもしれない。
けたたましい騒音と振動、臭い排気ガス、夏になるとたまらない熱源となって、人をクラクラさせる。
そんな歩道を歩いていく。
横断歩道で渡る人がいれば、人を優先させる。そんなルールすら守らないクルマのドライバーに感謝しながら!?
ありえない。
頭を下げるべきはどちらだろう?
なぜそこまでクルマを優先させるのだろう?
このCMの主旨はたぶんそんなところにはないのだろう。
ならば感謝の気持ちはもっと他の題材で伝えてほしい。
このCMを見た子供たち、いや大人たちは誤った価値観を再度植え付けられる。
高度成長期にはそれでも受け入れられたのかもしれない。
でもそんな時代はずっと前に終わっている。
必要なのは意識の方向転換だ。
最後に
このCMは「作品コンクール」最優秀賞を受賞した作品をもとに制作されたとのこと。
ネット上でも評価が高い。
「迷惑をかけたことにたいして素直に頭を下げる子供が素晴らしい!」
迷惑をかけているのはどちらだろうか。
評価している人はみんなクルマ優先党だから、何が重要なのか気づかないだろう。
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